乗ってみた
"The ネオ・クラシック"ですね。海外メーカーを含めた各社が続々とラインアップしている"過去の車両をモチーフに現代的解釈のデザイン&機能を与えたオートバイ"
来春にはSUZUKIのカタナが出てきますが、元バイクの神格化という意味ではコレが国内では筆頭でしょう。Zephyrをカスタムして似せてるヤツも良く見かけますよね。
初めて実車を見たのは去年の東京モーターショーですが、最近は走っているのをよく目にするバイクです。
個人的には若い頃は"アメリカンがカッコいい派"だったのでZ1・Z2には思い入れは全く無いのですが、契約店にレンタル導入したのを見つけて速攻で週末予約しちゃいました。実際に比べて見ると特徴的なリアフェンダー&サイドカウルとカラーリング以外はあんまり似てないよねとは思いますが
という訳で、このカタチ自体にはあんまり思い入れないので、乗ってみての比較対象は新型カタナのベースになるGSX-S1000(Fはレンタル試乗済み)です。
以下、印象をメモ。なお、例によって素人ヲッサンのたわごとであることを予め申し上げておきますw
素敵なところ
- 遅くないけど速くない。比較的味のある4気筒
ZX-9R由来で兄弟車のZ900にも採用されているエンジンを搭載してますが、中低速寄りにセッティングされているのでしょう。街乗り速度域で非常に扱いやすい感じでした。ギア比も街乗り型なんですかね?普通に流して走ってる時でも低速ギアで比較的上の回転数を自然に使ってエンジン回して乗るコトができ、その時でも非常識な速度域までは到達しません。
リッタークラス以上のバイクに乗ると「コレ、買っても降りるまで上の方の回転数は実質的には使えねーな...」と感じることがほとんどなのですが、コレは楽しく回して乗れそう。回転の上がり下がりは非常にスムーズですが僅かながら私の好きな"ざらついた感触"もあり、エンジンに飽きるって心配は不要と感じました。
- 大柄に見えて実はコンパクトで乗りやすい車体
主にタンクのボリュームからくる視覚的な効果だと思いますが、パット見はとてもご立派なサイズの車体に見えます。
ところが跨ってみれば車体は結構コンパクト。スリムでニーグリップしやすく足つきもNinja650と同等。両足べったりで、コレなら短足ヲッサンでも安心して乗れますw
車両重量もCB1300SFとかZRX1200 DAEGと比べたら30kg以上軽量で取り回しにも不安なしw
- 適度なヒラヒラ感
そのカタチが昔から好みだったZRX1200 DAEGをレンタルした時に気に入らなかったのが、どっしりしすぎたコーナリング感。それに比べて、このZ900RSは街なかをヒラヒラと走ることができる軽快感があります。
ただ、この軽快感は重心を高めにすることで得ているという雰囲気も多分にあります。
ツーリング帰路のアクアラインが週末渋滞しており、サンデードライバーも多めでしたが軽い車体と相まって細かく左右に車体を振りながらのすり抜け走行も全く苦になりませんでした。
ただ後述しますけど、サスペンションとタイヤは良いやつにしたくなるかも。
- 見やすいメーター
デジタルスピードメーター+アナログタコメーターが大好きなのですが、ネオ・クラシックなコイツは両眼アナログ。ただ目盛りのプリントとかのおかげか非常に見やすかったです。
あ、あとETCは2.0が装備されてました。未だに1.0を積んで販売されているNinja 1000と比べると後で出たほうが新しいってのは当然ながらプラスポイント。
ん?なところ
- 薄い接地感。イマイチに感じたサスペンション。
6,800kmくらいしか走ってない車体だったので未だサスペンションは美味しいところまで慣らされてないのかもですが...あんまり仕事してる様子が感じられない足回りでした。
GPR-300という軽快感重視なお安めツーリングタイヤの影響もあるかもですけど、コーナリング時の接地感がなんか薄く...バンク中にタイヤが路面に押し付けられてる感がなく、ちょっと荒れた路面ではショックがケツにダイレクトに伝わる感じ。
あ、タイヤだけでなくてもしかしたらデザイン&足つきを良くするためにシートが薄いからってのもあるかもしれません。が、コレが標準の乗り味だとしたらばサスペンションは良いやつに替えないとですね...
- 効きすぎるスリッパークラッチ
エンブレ多用派なのでスリッパークラッチ(バックトルクリミッター)付きの車両に乗るといつもエンブレの効きが薄いコトに最初は戸惑うのですが、Z900RSはその中でもエンブレ効かない筆頭。アクセル戻してもそのまます~っと前に出ちゃう感じで違和感大きめ。
- デザインはオーバーデコレート
東京モーターショーで初めて見たときも感じたのですが、全体に装飾過剰。特にフロントフェンダーのステーとか
逆にちょっと格好悪くないか?って感じます。またレンタル車両にはオプションのグラブバーが装着されていたのですが
荷物積むときとかタンデム時には便利かもとは思うものの、せっかくのシャレオツなリア周りの造形が....コレ、オリジナルのZ1にも付いてるみたいですけど、最初の方に載せた写真で見ると、Z1ではグラブバーの後ろにテール周りがかなり出ているから良い感じに収まってるんですね。
- 安定志向に過ぎる乗り味とクラシカル過ぎるポジション。
本格的なワインディングは走っていないのですが、過去にレンタルした同クラスのネイキッド、例えばGSX-S1000とかBMW S1000R、XSR900あたりと比べると、かなり安定志向に振った乗り味だなと。重心を高めにしてヒラヒラ感を得た代わりに乗り味としては安定方向に振っているのかな?ってな印象。
ワインディングをヒラヒラが愉しみたければZ900がありますよってコトなんでしょうけれども。
凄くワイドで高めに配置されたバーハンドルはお腹が出てきた中年ライダーにも安心な殿様ポジションではありますが、せっかくのバイクならばもう少しスポーティーに乗りたい。コレ、ポジションの影響はどの程度にあるんですかね?Z900RS CAFEに乗ってみれば分かるかなぁ。
- Z900という存在
税込み1,328,400円なZ900RSですが、一方カワサキからはベースが同一でありながらよりパワフルで軽量なコレが税込み950,400円でリリースされてます。
多分私の使い方だと乗って愉しいのはコッチ。前にレンタルしたZ1000もちょい乗りではありましたが愉しいバイクでした。
差額の35万がデザイン料と考えると、このカタチ自体にはそれほどビンビン来ていない私にとっては差額がでかすぎ...35万あったら前後オーリンズ化とかできちゃうんじゃないの?
まぁZ900にはトラコンが装備されていないのでヲッサンとしては買い難い車両になってしまうんですけれども。
あとは勇ましすぎる排気音....まぁ分かりますけれども...夜に自宅マンション駐車場に戻ってきた時とかは申し訳なくなるw
大人の音ではない
まとめ
という訳で特段Z1が好きな訳ではないヲッサンです。このバイクは"Z1への憧れ込み"じゃないと買えないなぁというのが個人的な結論。
コレとGSX-S1000を目の前に並べられて「好きな方に乗っていいよ」って言われたら迷わずGSX
こうなると新型カタナとGSX-S1000の価格差がいかほどになるのか...って方が気になっちゃいますね。
OTK
本家Z1が出たときの「カワサキのフラッグシップ」という意味はなくなった結果、
ヤマハのSRのような、アイデンティティというかシンボルというか…そういった存在になっているのかもしれませんね。
走りに重きを置くというよりは、所有欲を満たすためのモノのような。
(批判してるわけではないです)
ルックスなどはホンダの新CB-〜〜Rと通ずるところもある「ネオクラシカル系」ですが、位置づけは全く違うもののようですね。
Z900のレンタルレビュー、お疲れ様でした!
kenji00からOTKへの返信
あ~。なるほど。H2系やZX系が存在する今となってはパフォーマンス・フラッグシップである必要がなくなったから...かぁ。なんか納得です。
確かに、特に"火の玉カラー"とかだと、それほど頻繁にはバイクに乗れない家族持ちお父さん世代がガレージで見て愉しむという部分も満足させてくれる仕上げにするってのは重要なポイントですしね。
もちろん、この車体をカスタマイズしながらヒラヒラ乗れる一台に仕上げていくという楽しみもw
でも、やっぱり冬の第三京浜~湾岸線を走りながら思ったんですけど、私はカウルも欲しいですw
こういち
素晴らしい解析ですね!
将来、大型を買うときに参考にさせてもらいます。gsx1000sは今年のカラーもなかなかいい感じですよね